ただの画像を作成するには、ImageMagickというツールがありますが、
印刷に関係する図形や文字を作成するには、適していません。
ページ記述言語であるPostScriptを利用することが出来れば、印刷にも利用できます。
なお、PostScriptで作成したものをImageMagickに変換するには、
GhostScriptというツールがありますが、日本語等の2バイト文字への扱いが不完全です。
使用したPostScript::Simpleモジュールのバージョンは0.07でした。
CPANには登録されていませんが、Windowsであれば、ppmからインストールできます。
はじめに
PostScriptは、ページ記述言語です。
これを利用することで、様々な図形などを記述することが出来ます。
座標や単位についての解説は、また後述しますが、
基本的に左下を0,0とし、右上に向かうほど大きくなります。
なお、PostScripの画像は、ImageMagickを利用して以下のコマンドでpng画像に変換してあります。
また、画像はトリミングしてありますので、ご注意ください。
一部オプションは文章の説明のみとさせていただいております。
convert sample.ps -trim sample.png
平行移動や回転、拡大縮小の使い勝手はあまりよくないといういか、
まだ未実装のようです。(バージョン0.07現在)
ただ、EPSファイルの埋め込みが出来ますので、その機能が必要で使用しました。
なお、モジュールで使用している変数に直接追加することで、補うことが出来ます。
末尾の改行を忘れると、PostScriptとして記述エラーになることがありますので、
必ず記述しておくようにしましょう。
$ps -> {'pspages'} .= "1.2 1 scale\n";
空のファイルを作成する
何も表示されない空のファイルを作成します。
use PostScript::Simple; $ps = new PostScript::Simple(papersize => "A4", colour => 1, eps => 0, units => "in"); $ps -> newpage; # ページ宣言 $ps -> output( 'sample.ps' ); # ファイル保存
直線を描く
線を引くには、始点と終点を指定します。
太さと色は、指定しなくても可能です。
引数は左から「始点のx座標」「始点のy座標」「終点のx座標」「終点のy座標」です。
また、色を直接指定することもできますが、継承されるので注意が必要です。
引数は先のものに、「r色の10進表記」「g色の10進表記」「b色の10進表記」を加えます。
use PostScript::Simple; $ps = new PostScript::Simple(papersize => "A4", colour => 1, eps => 0, units => "in"); $ps -> newpage; # ページ宣言 $ps -> setlinewidth( 0.01 ); # 線の太さを指定 $ps -> setcolour( 255, 0, 0 ); # 線の色を指定 $ps -> line( 1, 1, 3, 3 ); # 直線を描く $ps -> line( 2, 1, 1, 2, 0, 0, 255 ); # 色を指定して直線を描く $ps -> output( 'sample.ps' ); # ファイル保存
このようになります。
png画像、146×146ピクセル
折れ線を描く
折れ線を描くには、2通りの方法が用意されています。
一本ずつ個別に指定する
直線を引いた後に次の座標を指定します。
lineメソッドを利用しないままlinextendメソッドを呼び出すと、警告が表示されます。
太さと色は、指定しなくても可能です。
引数は継続して線を描く、「次のx座標」「次のy座標」です。
use PostScript::Simple; $ps = new PostScript::Simple(papersize => "A4", colour => 1, eps => 0, units => "in"); $ps -> newpage; # ページ宣言 $ps -> setlinewidth( 0.01 ); # 線の太さを指定 $ps -> setcolour( 255, 0, 0 ); # 線の色を指定 $ps -> line( 1, 1, 3, 3 ); # 直線を描く # 続きの線を描く $ps -> linextend( 2, 3 ); $ps -> linextend( 3, 2 ); $ps -> output( 'sample.ps' ); # ファイル保存
このようになります。
png画像、146×146ピクセル
一度に指定する
折れ線を描くには、直線を引いた後に次の座標を指定します。
lineメソッドを利用しないままlinextendメソッドを呼び出すと、警告が表示されます。
太さと色は、指定しなくても可能です。
引数は、「始点のx座標」「始点のy座標」「終点のx座標」「終点のy座標」です。
平行移動させるには、「offset => [ (x座標), (y座標) ]」オプション、
塗り潰すには「filled => 1」オプション、
回転させるには、「rotate => (角度)」オプションもあります。
use PostScript::Simple; $ps = new PostScript::Simple(papersize => "A4", colour => 1, eps => 0, units => "in"); $ps -> newpage; # ページ宣言 $ps -> setlinewidth( 0.01 ); # 線の太さを指定 $ps -> setcolour( 255, 0, 0 ); # 線の色を指定 $ps -> polygon( 1, 1, 2, 3, 3, 2, 2, 1, 1, 3 ); # 折れ線を描く $ps -> output( 'sample.ps' ); # ファイル保存
このようになります。
png画像、146×146ピクセル
四角形を描く
線を描くのと同じように、四角形を構成する始点と終点を指定します。
太さと色は、指定しなくても可能です。
引数は、「始点のx座標」「始点のy座標」「終点のx座標」「終点のy座標」です。
塗り潰すには「filled => 1」オプションがあります。
use PostScript::Simple; $ps = new PostScript::Simple(papersize => "A4", colour => 1, eps => 0, units => "in"); $ps -> newpage; # ページ宣言 $ps -> setlinewidth( 0.01 ); # 線の太さを指定 $ps -> setcolour( 255, 0, 0 ); # 線の色を指定 $ps -> box( 1, 1, 3, 3 ); # 四角形を描く $ps -> output( 'sample.ps' ); # ファイル保存
このようになります。
png画像、146×146ピクセル
円を描く
円を描くには、中心と半径を指定します。
太さと色は、指定しなくても可能です。
引数は、「中心のx座標」「中心のy座標」「半径の長さ」です。
use PostScript::Simple; $ps = new PostScript::Simple(papersize => "A4", colour => 1, eps => 0, units => "in"); $ps -> newpage; # ページ宣言 $ps -> setlinewidth( 0.01 ); # 線の太さを指定 $ps -> setcolour( 255, 0, 0 ); # 線の色を指定 $ps -> circle( 2, 2, 1 ); # 円を描く $ps -> output( 'sample.ps' ); # ファイル保存
このようになります。
png画像、146×146ピクセル
孤を描く
孤を描くには、中心と半径、そして開始角と終了角を指定します。
太さと色は、指定しなくても可能です。
引数は、「中心のx座標」「中心のy座標」「半径の長さ」「開始角度」「終了角度」です。
角度は右が始点、つまり座標では「(中心のx座標) + (半径の長さ), 中心のy座標」になります。
塗り潰すには「filled => 1」というオプションがありますが、
あらかじめ孤を描いておかないと利用できないなど、使い勝手がよろしくありません。
use PostScript::Simple; $ps = new PostScript::Simple(papersize => "A4", colour => 1, eps => 0, units => "in"); $ps -> newpage; # ページ宣言 $ps -> setlinewidth( 0.01 ); # 線の太さを指定 $ps -> setcolour( 255, 0, 0 ); # 線の色を指定 $ps -> arc( 2, 2, 1, 0, 270 ); # 孤を描く $ps -> output( 'sample.ps' ); # ファイル保存
このようになります。
png画像、146×146ピクセル
文字を描く
文字を書くには、フォントの指定が必要になります。
日本語を扱う場合には、特にフォントに関する知識が必要となります。
画像に変換する場合には、GhostScriptの設定が必要です。
インストールしたままの状態では、フォントが見つからないという警告が表示され、
画像に変換できませんので、注意してください。
設定の方法については、別に機会にいたします。
フォントの太さを指定するメソッドが別にありますので、線の太さを指定するメソッドは必要ありません。
配置を指定する「align => (left/center/right)」オプションと、
回転を指定する「rotate => (角度)」オプションがあります。
use PostScript::Simple; $ps = new PostScript::Simple(papersize => "A4", colour => 1, eps => 0, units => "in"); $ps -> newpage; # ページ宣言 $ps -> setcolour( 255, 0, 0 ); # 線の色を指定 $ps -> setfont( 'MS-Mincho-90ms-RKSJ-H', 36 ); # フォントをエンコード方法なども含めて指定 $ps -> text( 1, 1, 'ぺんラボ' ); # 文字はShift_JISで指定 $ps -> output( 'sample.ps' ); # ファイル保存
このようになります。
png画像、140×32ピクセル
解説していないメソッドについて
以下のメソッドについては、
モジュールの使い方というよりもPostScriptの解説になりますので、
このページではただいま解説は行っておりません。
詳しくは、PostScriptの解説を行っているサイトや、PostScript::Simpleモジュールをご覧下さい。
- newpage
- putput
- get
- geteps
- circletext
- curve
- curveextend
- newpath
- moveto
- importepsfile
- importeps
更新履歴
- 2008-06-22
- 一部のメソッドについて解説を追加
- 2008-06-15
- 公開